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						はじめて能登に来たのは、能登出身の今の妻と付き合いはじめて半年後のこと。
						彼女の富来の実家に行き、ご家族にもてなして頂いた時に、
						「海、山、人、田舎暮らし…」全てに魅力を感じました。
						そして、能登暮らしを志願し、3年間あたためてからの引越しでした。
						埼玉での生活や付き合いを断つことになるので、妻、子供達の説得が必要でした。
						そして、こちらでやりたい仕事も見つかり、いよいよ移住を決めました。
                        

                        山崎さん 田舎の生活は、不便が喜びですよ。(笑)
						こっちは、やっぱり雪が大変。だから冬の過ごし方が生活の軸になるんです。
						都会の暮らしは自然を排除していますが、田舎の暮らしは自然が入り込んできます。
						自然と折り合ってどう暮らしていくかを考え、対処しています。そして、それが生活の軸になっているんですね。
						冬になると約束の時間を過ぎても「雪だから仕方ないね〜」となる(笑)。
						だから、経済は沈滞するけど、人間らしさは取り戻せますよね。
                        

                        山崎さん 仕事は創ればいいんです。それは、野菜づくりなど、お金にならなくても
						生活のための仕事はいくらでもあると思うんですよね。
						スローライフって言葉が流行って、多くの人がスローライフ、田舎暮らしと言えば、
						やることもそれほどなく、のんびり生活するというイメージを持たれている。
						だけど、こっちの暮らしは忙しい。忙しくていいんです。
						通常経済には、自給経済、物々交換経済、貨幣経済の3つがあります。
						都会は貨幣経済が99%ですが、田舎暮らしはこの3つがバランスよく保たれているので、
						たくさんお金を稼ぐ必要がなくなるんですよ。
                        

                        山崎さん 僕の仕事は、エコツアーの企画・運営です。
						地域の歴史や文化を掘り起こして、それを観光客の方に伝えたり、
						体験してもらったりしています。
						地元の人に話を聞くと、その土地ならではの文化や生活、
						物語があって、知れば知るほど面白いんですよ。
						それで、面白がって見つけたものをお客さんに伝えると、お客さんも面白がってくれます。
						田舎暮らしには、地域に関わることが大切だと思っています。地元の人達と触れ合い、
						その地域を学ぶこと、リアリティを見ることが生活していくのに必要です。
						そして、生活しているうちに地域にとって必要なものは何か、
						自分がそこで何ができるかが分かってくると思います。
						僕はガイドの仕事を通して、この地域に昔からある大切なものが失われていく前に、
						その一つでも多くを未来へアーカイブしていきたいと思っています。
                        

                        山崎さん とにかくちょっとでも思いがあるなら
						「何でもいいから来て!」と言いたいですね(笑)
						能登の本当に面白いところは、生活にあります。
						だから、観光地じゃないところが観光地になる。
						また、移り住む人が増えれば、その人の数だけ個性があり、
						その数だけ可能性が生まれます。
						皆さんが降り立ったその先に、地域の活性化があるんじゃないでしょうか。